初段にデュアルFET、出力段には双三極管=6FQ7/6CG7を採用した半導体と真空管による
ハイブリッド構成のドライバーアンプで、その機種に 待望のバランス=XLR 端子を増設したモデルになります。
その内部はオーディオ全盛期に製造された製品らしく、当時の音響用パーツがふんだんに散りばめられております。
コンデンサーの王様である、銅箔のスチロールコンデンサー、音と精度は抜群だがたいへん高価なタンタル抵抗
当時は群を抜いて高評価であった 日立製 大型の電解ケミコンなど、枚挙にいとまがないほどでございます。
更には、信号経路の配線にはPC-OCC導体を用いるなど、現在では絶版となってしまった優れたパーツが随所に使われており
各社が切磋琢磨しあっていた、良き時代を彷彿させる充実した内容でございます。
現代の機種とは異なる音色に魅せられてしまうといったら、懐古趣味とお叱りを受けてしまうかもしれませんが
十分に高音質であることは、間違いないところではないかと感じる次第でございます。
この機種の音は、出力段に真空管を採用したこと、そして オーディオ業界が元気で健全だった頃の製品で
とても艷やかで瑞々しく、潤いに満ちた 実に美しい音色を奏でるとの印象でございます。
後継機種とは異なる、ポッと火を灯したような温度感の高い、人肌の温もりが感じられて
血の通った そして生気が迸ったリアリティある音のように感じております。
現在では、絶滅してしまった電子パーツや配線材が奢られているからでしょうか。
近年のモデルとはまた違った、個人的には とても好ましいテイストを感じました。
私的に、ドライバーアンプはデバイスに真空管を採用した製品が好みですので
かなり主観が入っていると思いますが。。。
キーパーツである真空管は、製造ロットによって採用された真空管のメーカーがバラバラでしたが
この頃のモデルは主に米国製=GE社(ゼネラル・エレクトリック)の球が多く採用されており
この後の SRM-006tあたりになると、旧ユーゴスラビア製=Ei社の真空管が目につくようになって参りました。
当出品物は、 珍しく 米国製 Sylvania (シルヴァニア社)の球 が刺さっております。
この Sylvania は、前述の GEとRCAとも 同じグループ企業でしたので、真空管では兄弟関係に相当します。
ヴィンテージ管といったら大袈裟かと思いますが、その後のスタックスが好んで採用する 真空管であるロシア製のElectro-Harmonix とは
印象がかなり異なり、熱くて重厚、太めでふくよかな音を奏でて 力強さも感じる 旧き良き 米国球的な趣があると思います。
その後のモデルと異なる 特徴として もう一点、真空管のヒーターへの点火方式が 交流点火であることが
管球アンプ特有の奥行きのある 味わい深い音を奏でる、もう一つの重要な要因ではないかと感じる次第でございます。
電源部の平滑電解コンデンサーの頭部に銅箔が貼り付けてあるのは、この時代によく用いられた音質改善のための手法です。
当モデルも製造ロットによって、対策してある/ないがありましたが、出品物は対策済みのロットとなります。
当機種は真空管が採用され、尚且つA級動作させているため、上面の通風孔が大きめに造られています。
そのため、ホコリなどが内部に溜まりやすいのですし、酷いものになれば ホコリまみれで
電子パーツが見えなくなるほど こんもりと積もっている場合も多々ございますが
当出品物は比較的 蓄積量が少なめで、清掃も楽に行えました。
ついでに基盤部を撮影いたしましたので、参考になさってください。